各国のミュージシャンが語る<新型コロナ・ウィルス対策>の現状
各国・地域のコロナ渦における状況をミュージシャンに聞く特別ショート・インタビュー。その第3弾は、地元カナダにてステイ・ホームを続けるジェイムズ・ラブリエだ。確認感染者数が世界トップ級であるアメリカとも隣接するカナダでの対応は? ※取材は4月22日
通訳:トミー・モーリー
この時間を最大限に活用して
生産的な活動をすべきだと思っている。
——今回は、世界中が新型コロナ・ウィスルの渦中にあるなか、取材を受けていただきありがとうございます。
僕が今いるカナダもみんな自宅待機をしていて、レストランやバーも閉まっているね。世界中のどこもかしこもがそうであるように、僕たちもロック・ダウンを余儀なくされているよ。唯一アクセスできるのはスーパーや薬局くらいなものだ。基本的に家に閉じ込められていて、誰もがこの状況をかなりの大ごとだと捉えている。誰にとっても気楽に過ごせるものではないからね。
——そのとおりですね。
しかし現代の僕たちはテクノロジーを手にしていて、閉じこもってはいても家族や友たちと連絡を取り合うことができている。ソーシャルメディアといった、情報を得るだけでなく自ら発信する術も手にしている。FaceTime、ZOOM、Housepartyといったものでコンタクトは取れるから幸運ではあるけど、社会的な関わり合いという観点でいうと、何かをする術はほとんどないといった状況だね。
——では、具体的な音楽活動やビジネスの再開について、話し合いの場を設けるという段にはまだ来ていない?
今の時点では、まったく先が見えていないね。これはかなり個人的な見解だし、蓋を開けたら間違いということがあるかもしれないけど、音楽に限らずさまざまな産業で起きていることを目にするに、本当に先が見えないと言わざるを得ないだろう。僕らのツアーに関して言うと、すぐに再開できるとはとても思えないね。
——いや、当然ですね。
早くても秋頃になって、やっと再開できるかなと推測している。音楽産業全体を見ても、数週間以内というのはまったくもって現実的ではないよ。今はソーシャル・ツールを使ってファンとつながるってことはかなり強力な方法だし、ネット配信といった形でのバーチャルな活動をすることもひとつの選択肢だろう。しかしドリーム・シアターに限って言うと、2020年に関してはオープンな活動は一度止めるという前提を覚悟し、この時間を最大限に活用して生産的な活動をすべきだと思っている。
——例えば、創作期間に当てるなど?
そう。新しい素材を作り始めたり、アイディアを集めるだけだったら、皆が同じ部屋に集まる必要はないだろうからさ。少なくともソーシャル・ディスタンスの重要性が問われている現状ではね。僕らはこういった状況でも、歩みを重ねて新しいアルバムや曲の制作に着手することを検討し始めるべきじゃないかと思っているよ。
——今回はこのような状況のなかの取材になってしまいましたが、10月公演の際には、ぜひヴォーカル・トレーニングについてのレクチャーをお願いします!
もちろん、まったくノープロブレムだよ! ショウの直後にインタビューしてもらえるようにセッティングしたってかまわないさ。ライヴを観てから行なったほうが内容もいいものになるはずだろう? ぜひ実施してもらいたいね。
——おぉ、ではそのときを楽しみにしておきます(笑)。
何よりもまず、日本にいるファンのみんなが無事健康に過ごせることを祈っている。ソーシャル・ディスタンシングをしっかりと守り、家にいてくれることを願っているよ。10月の訪日をとても楽しみにしているし、これは僕たちの活動のなかでもハイライトのひとつになるのは間違いないよ。『メトロポリス〜』の完全再現を君たちにもぜひ観てもらいたいし、『ディスタンス〜』からの新曲も楽しみにしてほしい。ぜひ、元気な姿で会おう!
◇インタビューの本篇は、6月発売予定の『メタルハマー・ジャパンVol.2』にて!