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《スペシャル“パンテラ”インタビュー①》テリー・デイト【『METAL HAMMER JAPAN Vol.12』より】

プロデューサーが見ていた『俗悪』の一部始終。

 『METAL HAMMER JAPAN Vol.12』では、1992年発売された名盤『俗悪』を特集。ここではその一部を公開!
 パンテラのメジャー・デビュー作『カウボーイズ・フロム・ヘル』から制作作業に関わるプロデューサー/エンジニア、テリー・デイト。
 80年代から現在に至るまで数多くのバンドのサウンドを昇華させていったテリーだが、彼のライブラリーのなかでも最も輝くキャリアと言えば、やはり『俗悪』を筆頭としたパンテラの作品群だろう。今聴いてもまったく色褪せないあのモダンなサウンドは、彼なしでは生まれなかったと言える、まさに“5人目のメンバー”と形容して遜色のない人物である。
 そんな彼が改めて『俗悪』サウンドの秘密を語ってくれた。

Translation by Mirai Kawashima

 

私にとって大切なのは
信頼性と演奏能力。

 

—パンテラとの仕事は、彼らのメジャー・デビュー作『カウボーイズ・フロム・ヘル』が最初ですね。それ以前から、彼らのことは知っていましたか?
 いや、知らなかったね。当時の私のマネージャー(ウォルター・オブライエン氏)が『カウボーイズ〜』のデモを送ってきたんだ。かなり素晴らしいと思ったけど、私は音楽だけで仕事を決めていたわけではなくて。一緒に仕事をする人たちと仲良くやれるかが重要だからさ。

—仲間として作業できる相手ではないといけない、と。
 そう。だからテキサスまで飛行機で行って、一緒に過ごしてみた。彼らは私のことは知らなかったから最初は懐疑的で“自分たちのサークルにやって来たヨソ者”という感じだったけど、1日一緒に過ごしてみると私にあだ名をつけるほど仲良くなって、それで仲間になれたなと思ったものだよ(笑)。

—パンテラは最初からあなたと仕事をしようと決めていたわけではなかったということですね?
 はっきりとした経緯はわからないけど、私が第一候補ではなかったことは確かだ。実際に顔を合わせてお互いに理解し合うまで、彼らは本当に私でいいのか迷っていたんだと思う。一緒にレコードを作るということは、スタジオのなかで本当に長い時間をともにするということだから、人間的にうまくやれなくてはならないから。

—事前に聴いたデモから、パンテラというバンドのどんなことを感じ取ったんでしょうか?
 私にとって大切なのは信頼性と演奏能力。バンドが自分たちのやっていることをきちんと理解していると、あるフィーリングが生まれるんだよ。だから私はいつもライヴを観て決めるようにしている。録音された曲を聴くときだって、私はいつもライヴのオーディエンスの目線でいるようにしているから。

—ではテキサスに行ったときも、彼らのライヴも観たんですね?
 そう。初日に車で北へ1時間ほどのクラブに行ってね。もちろん超満員だった。彼らのライヴを観て、これは間違いないとすぐに思ったよ。

—彼らのいいところ、逆に弱点は何だと思いましたか?
 そのときに、そういう判断はしていないように思う。その日たまたまライヴの調子が悪かったとしても、それがスタジオでうまくやれないことを意味しているわけではないから、私はライヴやデモですべてを判断するようなことはしないんだ。いいところや弱点を求めるのではなく、人間性や演奏能力を求めているからさ。

 

彼らが欲するサウンドを実現するのが
私の果たした重要な役割。

 

—そんな彼らの良さを引き出すため、あなたはどのようなプロデュースをしようと考えましたか?
 “より良いものにするためにこうしよう”みたいな計画はなかったね。私の一番の目的は、彼らに最良の演奏をしてもらうこと。ライヴで観た彼らの演奏は最高のもので、デモにも素晴らしいフィーリングがあったから、それを保持したかった。デモは生演奏で録って、多少のミスなどがあるにしてもとても勢いがあるのに、実際のレコーディングではそれが失われてしまうことがあるけど、それを可能な限りライヴなフィーリングにしたかったのさ。『カウボーイズ〜』に限らず、バンドには“どういうサウンドにしたいか”という具体的なヴィジョンがあって、そのことについてきちんと話し合ったよ。彼らが欲するサウンドを実現するのが、私の果たした重要な役割だった。

—なるほど。
 それから演奏のさせ方だね。演奏するときに彼らがヘッドフォンで聴いている音が優れていれば、バンドもやる気が出て、演奏もさらに素晴らしいものになる……というのが私の考え。だからヘッドフォンからいい音が聴こえるようにすることも私の仕事さ。

—彼らとの作業はどのようなものでしたか? 
 彼らがリリースしたビデオにはクレイジーなシーンが出てくるだろ? スタジオでは毎日あんなことが起こっていたんだよ。あるときは疲労困憊、あるときは人生で一番楽しい1日……みたいな感じさ。ノンストップのエンターテインメントだったね(笑)。緊張や怒りみたいなものはなくて、毎日パーティをしているようなものだったな(笑)。狂っていたよ。彼らについて聞く噂話みたいなことは、どれも日常的に起こっていたんだから!

◎続きは『METAL HAMMER JAPAN Vol.12』 でどうぞ

 

『METAL HAMMER JAPAN Vol.12』 ではダイムバッグ・ダレルとレックス・ブラウンの復刻インタビュー、そして初来日公演にて共演したアウトレイジのインタビューも掲載!

 

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